2018年4月18日水曜日

棒テンプ時計の精度アップ Ver 2


メーカーフェア東京2018に出展します。



昨年のメーカーフェアでは、棒テンプの慣性モーメントを変えて往復回転運動の周期を調整するデバイスを紹介しました(リンクはこちら)。

今回は、棒テンプを吊っている糸の長さを変えることによって周期を調整する方式に変更しました。こうすることによって、デバイスは時計本体に固定されるので、ACアダプタから電源を供給できるようになりました。消費電流を気にしなくてよいので、WIFIでネットに接続してNTPから正確な時刻を取得します。またデバイスにWebサーバーを持たせ、タブレットなどのブラウザで履歴の確認やパラメータの変更ができるようにしました。


全体像です。本デバイスは時計本体の上部に固定され、赤外線センサーで棒テンプの回転を検出します。これより計算された時刻と、正しい時刻を比較し、誤差に応じて棒テンプを吊っている糸の長さを調整します。長さが長いときは棒テンプの周期も長くなり、短くなると周期も短くなります。


デバイスを上から撮った写真です。



デバイスを正面から撮った写真です。



周期調節部分の拡大です。吊り糸押さえより下の部分のみが捻じれるようにしてあります。吊り糸押さえを上下することにより、吊り糸の実効長を変化させ、棒テンプの周期を変えています。



回路図です。



タブレットで時刻誤差(秒)の履歴の一部を表示した写真です。109分前に8秒遅れ、60分前には11秒の進み、現在は4秒の遅れという履歴が読み取れます。棒テンプの周期が約4秒なので、現在のアルゴリズムではとびとびの秒数となります。最大15時間分の履歴が表示されます。



実験に使った棒テンプ時計は、ギヤが木製で、きちんとメンテナンスをしていなので、一日数分の誤差が生じ、これが毎日累積していく状態でした。この時計に本デバイスを取り付けて、自動調整を行った結果、一日の誤差は1分以内となりました。また時計の特性が大きく変化しない限り、原理的に誤差の累積はありません。

24時間のデータです。青が時刻の誤差(秒)です。


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